第19章 It's a secret. DIO
話しおえるとDIO様は今にでも泣き出しそうな顔をしていらっしゃった。
「亜理紗…亜理紗、お前」
「…申し訳ありませんDIO様」
「私は…俺は…ッ」
ブランドーに戻りつつあるDIO様を、私は嬉しくも悲しみを抱いていた。ああ、私が嫌な思い出を引き摺り出しているのではないか。
「亜理紗ッ」
ぎゅ、と私を抱きしめてくださる。なんて、なんて懐かしい。私はそう、この温もりを求めてずっとDIO様、あなたを求めて、ずっとこの長い間さまよい続けている。もう迷う事のない人生にたどり着いたのだと思うと何も怖くはなかった。
「…すまん、俺があの時、石仮面になど頼らず血を与えていれば…」
「いいのです、DIO様、あなたさまの腕の中で果てられたことこそ私の望みでした」
「ずっと、探していてくれたのか」
「はい、ずっと、DIO様を、ディオを探しておりました」
短い人生を歩み、ようやく今、私は満足いく人生を歩んでいる。
19歳でディオの腕の中で、23歳でディオの眠る海の中で、そして今、17歳でまたDIO様の腕の中で。
ああ、それが叶ったらなんて幸せなストーリーを私はおくっているんだろう。
「…DIO様さえ宜しければ今、私を殺してください」
「何を」
「私は今、幸せなのです」
世界中の誰よりも、この人生に満足している。そんな事をおもった。
「…馬鹿を言うな、これからもこのDIOと歩み続けるのだぞ」
「ありがとう、ございます」
近い将来、きっと私は死ぬ。それはもう予感していた。きっとDIO様も…。
だが、もう迷う必要などなかった。
愛するDIO様と共にこの時を再び過ごせてそれで良かった。きっと前世の私達も私の中で喜んでいるに違いない。
数か月後、DIO様と私は、太陽の下で抱き合いながら空を舞った。
END