第19章 It's a secret. DIO
私がDIO様に連れられてここに来る前、少しだけ時間をいただきある場所を訪れていた。
そこは私だけしか知らない秘密の場所。DIO様も知らない、私のお母さんやお父さんも知らない私だけの場所だ。
…といっても倉庫だ。貧相なその倉庫の中にはたくさんの本がある。何故私しか知らないのか、幼い頃の私にはわからなかった。だが通うにつれ理解できていく私がいた。
「…そうか、ここに来る前に持ってきたのはこの日記だったな」
「私の、宝物なんです」
コレを持ってきたときDIO様はとても驚かれた。おもちゃとかお菓子とか、そういう類だと思っていたらしく、ワゴンに積んで本をひいてきたときは言葉を発されなかった。
それから本棚を用意していただき、日記たちを並べた。もうその時既に30冊は超えていた。
「ふむ、…最初の日記は相当古いようだな」
もう表紙に書いてある文字は読めなくなるほど掠れていた。
中の字は私の知っている国の言葉ではなかった。でも、なぜか不思議と読めたのだ。祖国でもなければ一度も言ったことのない国だったのに。
「イギリス語で書いてあるんですよ」
「イギリス?」
「かなり初めの方は小さい子供の字ですから読みにくいのですが、後半あたりになっていくとしっかりと字が読めます」
ほら、と15冊目を開いて見せるとDIO様は眉を寄せた。
「これ、は」
日記を持つ手が震えていた、私の手ではなくDIO様の手が。私はその手が震えている理由が分かっている。これは今まで私がDIO様に秘密にしていたことだったから。このことはDIO様にもそうだが友人にも親にも誰にも言ったことがない。
「何故、亜理紗が…!」
「…少し、長くなりますが宜しいですか?」
するとDIO様はふかふかのやわらかいソファに腰かけてああ、と仰った。