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ジョジョ短編集

第2章 よく似た背景が 空条



「聞きてぇことが山ほどある…が、ここで話す事じゃあねぇ」

私は何も言えないまま、先程の質問に頷いてみた。でもこの後はまだ授業がある。今はまだ昼休みで午後の授業だってサボるわけにはいかない。
私はクラスの中で地味な方だった。中心にいる可愛い女子やかっこいい男子と喋ったことはないし喋ろうとも思わなかった。私とは次元が違うのだと考えていて配布物を渡す時くらいしか会釈はしない。
でもこうしてクラスの中心…いや、学校の中心ともいえる人物とこうして話ができるなんてなんて失礼で申し訳ない事をしているんだろうと不思議な罪悪感が溢れだす。
が、ジョジョはそんな事を気にもしてないないみたいで私の頷きに満足したのか開けっぱなしだった屋上のドアをくぐり階段を下りていく。
私はそれを後ろからぼうっとみつめていた。

「何してる」

早く来い、というようにポケットに手を突っ込んだまま立ち尽くしている私を視線で催促した。

「…別に、悪いこたあしねぇよ」

そう呟くとゆっくり階段を下りて行ってしまった。私は慌てて教室に戻って鞄の中に明日授業がある教科書やノート、ペンケースを押し込んで教室を飛び出していく。その時もクラスメイトは私が出て行ったのに誰も声をかけてこなかった。相当影が薄いんだなあと感じながらもジョジョが向かったであろう昇降口に急ぐ。
そこにはもうジョジョの姿はなくて急いで履きなれたローファーを履き乱暴に下駄箱の中に上履きを入れた。
走って校門に行くと、校門の横でジョジョが寄りかかって空を見つめていた。

「遅え」

言ってもまだ5分も経っていないのに、と思ったがそれも口からは出て来ない。ごめんなさい、と謝罪の意味を込めて深々と礼をすると歩き始めた。
ジョジョの歩幅はとても広い、広いという表現が正しいのかわからないがとにかく大きい。私のような身長が一般的な女子にとっては早歩きをしないと追いつけないくらいでとにかく歩くのが早く感じる。
ふと何処に行くのか気になってあの、と声をかけると此方に視線を向けてから

「俺の家だ」

それだけ呟いてその後はずっと無言だった。






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