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ジョジョ短編集

第2章 よく似た背景が 空条



「何の用だ」

まるで自分の縄張りを汚されたというような目つきで私を睨み付けた。同時に彼の背景も一層濃くなる。ジョジョのその背景はジョジョと同じような体制になり空中に浮いているようだ。

「…おい」

余りにも私が黙っているため不審に思ったのかジョジョは私の方に近づいてきた。普段の私ならばここから直ぐに走って逃げて行ったのだろうが、今は恐怖よりも興味が勝ち足を動かさないでいる。きっと恐怖で足が動かないというのもあるんだろう。

「あ、の…」

指をさして背景を示す。ジョジョからしてみれば自分の背後を指さされているというより顔のあたりを指さされているので酷く不愉快だろうにジョジョは眉間に深く谷をつくったままその私の指を見つめていた。
私は気が付いてほしかったのだ。その背景の存在をジョジョに気が付いてほしかった。きっと後ろにいるから見えないんだろうと、振り向きさえすればきっと気が付いてくれるだろうと私はそんな事を考えていた。
するとジョジョは私が見たこともないような驚いた顔…目を見開いて私の指ではなく、私の顔を見た。

「まさか、お前」

見えるのか
それを聞いて私はハッとした。あぁ、ジョジョには見えていたんだと。
その気持ちが流れ込むと安心と共に突然の恐怖が足を襲いその場に座り込んでしまった。緊張しすぎて立っているのもやっとだったんだろうととても客観視している自分がいることに気が付いた。

「ごめん、なさい」

口からようやく出た言葉は謝罪だった。
ジョジョは私の腕を掴んで立ち上がらせるとため息をついた。迷惑をかけて申し訳ないなと思いながらも口が思うように動かなかった。喉まで出かかった言葉は口からは出ずに心の中に戻ってしまう。

「この後暇か?」

突然何を、と思い顔を上げるとジョジョは私を見下ろして無表情のままだった。



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