第9章 メモリーブック 空条
それから勿論私は空条君が中学生になり卒業するまでのアルバムもバッチリ拝ませてもらった。むふふ、可愛い、中学生になっても素直な笑顔が光り輝く好青年って感じだった。
「さあてさて、日記はないのかな~…」
と、残念ながらお部屋をあさって見たけど日記どころかエロ本なるものさえ出て来なかった。健全な男子高校生なら一冊や二冊隠し持っていると思っていたんだけど、なんだか残念。ネタにしてからかおうだなんて思ってないけど空条君も人間なんだなーと思いたかっただけ。
にしても私はいつまでいるんだ?もうここのお部屋に来てから2時間はゆうに越している。空条君が帰ってきたら流石に気が付くだろうし逃げ道だって用意しているし、うん、装備は万全。
「帰りましょうかねえ」
ちゃんとあるべき場所にものを返してから制服を整える。あ、はい。制服で侵入していたんです。
「ふっふーん~んん?!!」
おう?!あれ?!逃げ道(窓に沿うように積んであった石段が)ないだと?!ここのお屋敷は日本風だし、正門から入ればこんなもの使わなくてもいいんだけど、何せ私はスパイですからそんなことするなんて無理無理。誰かが片付けてしまったんだろうか。
ちょっと流石に、足がつかない段差は苦手でしてね…どうしようか。
「…どうする私、落ち着け…、まだ空条君どころかおうちの人も帰ってきちゃいないんだから、正門突破も許される…ハズ」
許されません、不法侵入は犯罪です。やらないでください。
「っしゃあ、やったる…!」
私は木々に隠れながら見事庭を攻略していき、もうすぐで!もうすぐで門につく!
「ゴール!」
「させるか」
「はッ!」
い、意外ッ後ろにいたとは!
じゃなくて!!!
「い、いいいいいいつから」
「1時間前から俺は家にいたぜ」
「なんですと!?」