第7章 軟派ボーイ シーザー
すると亜理紗は驚いたような目で俺を見る。
「…珍しく、随分控えめなのね」
「亜理紗にだけさ」
そうね、と顎に手を添え考えてるようだった。俺は前から知っている、亜理紗は今まで一度も異性と付き合ったことがないと。というのも男が嫌いとかそういう訳ではなく、ただ単に面倒くさいという理由だそうだ。亜理紗の友が男関係で悩んでいたりする姿を見てそういうものだと判断しているらしい。初恋の人のことだ、しっかり調べるに決まってるだろ?
「一つ、聞きたいことがあるのだけれど」
「何でも聞いてくれ」
「本当に私が好きだというのなら何故他の女の人に声をかけていたの?」
そりゃあそうだ、それは疑問に思うはずだ。
俺は確かに亜理紗という天使に恋をした後にも他の女性を口説いていたりデートを重ねていた。プレゼントも贈ったしキスもした。だからそれを不思議に思っても仕方がない。
俺は世間でいうキザなスケコマシ。それをかっこいいかかっこ悪いか人それぞれ感じ方は違うと思うが、俺は別にどうとも思っていない。俺はスケコマシのつもりはなかったし、俺にとっては単なる゙成長過程゙に過ぎなかったからだ。
そう言ってしまえば今まで付き合っていた女性達には申し訳ないことになるだろうが、俺からしてみればそういう事だった。何に対しての成長かというと、゙亜理紗への為の成長゙だったんだ。
そう話せば亜理紗は首をかしげる。
「゙私への為゙?よくわからないわ。何故他の女性に話しかけることが゙私への為゙になるの?」
「あまり話したくはないんだが」
だが話す必要がある。亜理紗から信頼を勝ち取らなければならない。
俺は頭をフル回転させて言葉を並べることにした。