第4章 voice 花京院
「ご、ごめんねお茶なんて出させて…」
「勝手に出しただけだから気にしないでくれ」
彼女は律儀だ。さっき持ってきたリンゴの皮をむこうかとか、リビングが汚い話をすればお手伝いするよとか。世話焼きなんだろう。
「…そ、その…花京院君…」
突然気まずそうに顔を伏せてしまった。なんだい、と聞けば顔を真っ赤にさせて簡易ベッドを指さした。
「お、男の子ってこの下にいろんなもの隠してるって聞いたから、き、ききききになったんだけど」
…ヤバイ。これは僕の生命の維持にかかわる。まさか彼女が興味本位で覗いてしまったんだろうか。この下にはポルナレフからかりたあのいかがわしいゲームが隠してある。
こういう類の物はベッドの下に隠すと相場で決まっている。だから僕は隠した。覗かれるなんてことはないだろうと思ったのだ、彼女がもしベッドの下には色んなものが隠してあるという相場を知っているとしたなら覗かない性格だろうと。そう思っていた。
「…の、覗いちゃって…」
あぁもう明日から学校に行けない。そう思って頭を抱えた。
「…花京院君、あの、ゲーム…」
「あっアレみたのか、え、ええとあれは友人に押し付けられたもので決して僕のじゃ」
「面白かった?!」
「えっ?!」
もうお互い顔は茹蛸状態だ。そこで普通ゲームの感想を聞くのだろうか。いやもう精神状態は普通じゃないし、別に気にすることはないか。
「ル、ルート攻略したってことでしょ…?」
「う、あ…あ、あぁ」
「へっ変じゃ…なかった…?」
変じゃなかった…?違和感がなかったかと…そういうことできいているのか?
なら残念ながらその問いに答えることはできない。なぜなら僕は恥ずかしながらまだ未経験だから。