第4章 voice 花京院
「そ、そう、だな…大丈夫だったと、おもうよ」
そっか、と小さい体をもっと小さくさせてしまった。…なんて可愛いんだろうか。
こんな女の子がいたなんて知らなかった。僕にとって女の子は怖い存在でしかなかったから。
「……へ、変なこと聞いてごめんなさい」
「い、いや…僕こそ、アドバイスとかできなくて、ごめん」
「は、恥ずかしながらまだ…その、経験が…なくてですね…」
そこまでカミングアウトする必要があるのかと問いただしたかったが彼女はもう何も聞こえていないだろうし何も見えていないんだろう。
「特別ルートとかにされちゃって、えっと、折角やってくれたのにコレかよって…そう思われてたら怖いなって思ってて…でも花京院君が大丈夫だって言うなら、大丈夫かな…」
照れ臭そうに顔を真っ赤にさせて微笑んだ。あぁ、可愛い。抱きしめてしまいたい。
植嶋さんとベッドを見比べてしまう。いけない、これは本当にいけないことだ。まだ僕の中では理性が勝っているからいいものを、もう少しで何かが外れてしまうような気がした。
だから、上げたのは僕だが、早急に帰ってもらわなければどうにかなってしまいそうだ。
「かッ、風邪をうつしたら悪いからっ気温が下がる前に帰った方がいいかもしれない!」
「そそそそそうだね!おおお邪魔しました!!!」
彼女もなにか悟ったのか小走りで靴を履きに行き、小さくお辞儀をしてから駅の方向へと小走りで行ってしまった。
僕は背中が見えなくなってから静かに鍵を閉める。そしてリビングにある親機で迷わず番号を淡々と入力して友人ポルナレフに連絡をする。
『おう!花京院じゃあねぇか、どうした?』
「あのゲームの事なんだが」
『ん?…貸した奴か!面白かっただろ!』
「直ぐに引き取りに来てくれ、何も言わずに引き取りに来てくれ」
『続編の三人の間違いってのも』
「結構ッ!!!」
後日良い笑顔で続編を持ってきたポルナレフを思い切り殴ってやった。
裏面を確認して借りることにしたが。
END