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ジョジョ短編集

第4章 voice 花京院



家に帰ってゲームを起ち上げる。
このゲームは『ドキッ!あなたと私の放課後勉強~二人きり編~』。勿論コレを僕が買ったわけじゃあない。友人のポルナレフが面白いゲームが手に入ったというから借りてみたらコレだっただけだ。だが結構面白い。

「…?」

爽やかな旋律にのせて可愛らしい声のOPが流れ始める。これだけ聞いていれば単なるアニメのOPのようで、これからエロゲーをやるだなんて微塵にも思わないだろう。
その主題歌は名前がまだ売れていない新人歌手…といってもCDデビューをするわけでもなく、ただこうやってPCゲームのOPで出ているだけらしい。ゲーマーの僕でも初めて聞くぐらいなんだから本当に最近出て来たんだと思う。
その新人歌手、パッケージ裏表記で『sweet magic』とある。恐らくこの歌手のグループなんだろう。顔写真は非公開だ。だがこの声を僕は知っている。先程知った。

「…植嶋、さん…?」

間違いない。音楽の授業で歌のテストがあったがその声とそっくりだ。そのままだ。
だが学生がこんないかがわしいゲームのOPを担当していいのだろうか?その辺のことは僕にはさっぱりだから何とも言えないが…本当にそうだったらこれは大変な問題ではないのだろうか。
この『sweet magic』は二人で歌っていてそれぞれ声優としてもこのゲームに貢献している。所謂特別ルートにしか出てこず、この二人以外に攻略すべきルートは五人でその全員のスペシャルボイスをゲットしないと解放されない。僕はすでに全員を攻略している。だから…その、言いにくいのだけれど、植嶋さんの声も聞いているわけだ。

「…ッ!」

そう考えれば反応せずにはいられないわけで、すぐにゲームの電源を落とす。ダメだ、やましい事をかんがえちゃあいけない。僕と彼女のはただの同級生で、この声は単なるゲームからの声なわけで。直接的な関係は何一つない、そう思わないといけない。
なのに頭は勝手にどんどんそういう考えてはいけないシチュエーションに向かってしまう訳で。

「クソッ…ポルナレフ!!」

怒りの矛先は友人ポルナレフに向かう。
全く罪のない彼だが今回ばかりは許してほしい。あぁ、早くこのゲームを引き取りに来てくれないだろうか。



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