第4章 voice 花京院
翌日、僕は案の定植嶋さんの顔はおろか声を聞けば火照って仕方がなかった。昨晩は鎮めるのに時間はかかったが想像して…などという事はしなかった。それは彼女に対して失礼な行為だと思った。
「か、花京院君顔真っ赤だよ?」
心配そうに声をかけてくれてとてもありがたいが今はそれどころじゃない。早くどこかに行ってくれないか…
「って植嶋さん?!」
「は、はい!」
目の前に植嶋さんがいたとは…こんな状態で会ったらどうすればいいかわからない。平静を装うことは得意だが今この状況でそれは通用しない、僕の顔は誰がどう見てももう真っ赤だったからだ。
「熱、ある?平気?」
「だ、大丈夫だ、気にしないでくれ」
「保健室行ってきなよ…あ、場所分かる?」
そう言うと植嶋さんは友人に声をかけて僕の腕を引っ張る。これではなんだか保健室に行くのを嫌がって僕が駄々をこねているようじゃあないか。そんなみっともないところを見られては困る。別に具合が悪いという訳ではないし、植嶋さんがこの手を離してくれれば暴れだした心臓も少しは静かになるだろうに。
「ばッ場所ならわかる!だから」
「なんか隠してるでしょう」
ドキっとした。隠し事の一つや二つ、他人だからあるだろう。彼女がどうしてここまで気にするのかはわからない。
「…隠し事って辛いのわかるから、悩みとか…力に、なりたいだけだから」
その隠し事とは、あのゲームの事なんだろうか。
そう考えたらまた落ち着き始めた心臓が激しく脈を打ち出す。