第4章 voice 花京院
突然だが、花京院典明…僕はゲーマーだ。
僕の日常は起床後のPCオンラインゲームで始まり、学校へ行き授業を受け、部活動はせずにまっすぐ帰宅をしてネットショッピングで購入したゲームをPCで遊んで、色々な活動(主に食事や風呂、宿題など)をしてからまたPCゲームに戻り寝る。
そんなゲーム三昧な僕には勿論惚れた腫れたなどの話は一切浮上しない。両親も最早気にしなくなってしまったほどだ。僕は恋を知らない。所謂チェリーボーイというやつだ。
そんな僕が最近はまったゲームは世間で言うエロゲーだ。
とはいっても過激なものではない。初心者なのでゆるいものをやっている。
「花京院典明君…だよね?」
「そうだが…君は?」
突然声をかけて来たかと思えば控えめそうな女子生徒だった。
そうだ、今は学校だった。あまり変な事を考えてはよくない、学校なのだから…勉強に専念せねばならないのに。何を変な事を…。
「植嶋亜理紗、同じクラスだよ」
まだ転校してきたばかりで何人かしか顔を覚えていなかった。これは悪い事をしたなぁ。謝れば大丈夫だよと優しく笑ってくれた。
「今日日直だから、これ先生から日誌」
はい、と渡されたのは学級日誌。授業前後の号令や黒板掃除、教室の鍵の開け閉めをしてくださいと書いてあった。こんなことをやるのか。
「分からないことがあったら何でも聞いてね」
じゃあ、と僕から離れて行った彼女の声に僕は聞き覚えがあった。前の学校だろうかと考えて見たがその可能性はとても低い。僕が引っ越す前に誰も転校していったことはなかったし、幼馴染だとしても覚えているはずがない。
深く考えるのはやめよう。きっと他人の空似だ。
早速学級日誌を開いて日付と僕の名前を書き込んだ。