第1章 止められない現実
「あ。新ちゃん。おはよ~」
朝食をテーブルの上に並べながら有希子は言った。
「おはよ」
「新ちゃん。最近、蘭ちゃんと上手くいってないみたいだけど、どうしたの?」
「え。いや…べつに…何も」
「嘘。何もないことないでしょ。蘭ちゃん、この前悲しんでたよ。新一が私に冷たい態度とるって…」
「そりゃー蘭の思いすぎだろ。オレは別に冷たい態度なんか…」
新一がそう言うと有希子は急に険しい顔になった。
「ダメ!新一!女の子を悩ませちゃ!今日、ちゃんと蘭ちゃんにあやまるのよ」
有希子にそう言われて勢いで新一は「うん」と言ってしまった。