• テキストサイズ

恋愛協奏曲【ハイキュー短編集】

第5章  endless wedge



が居なくなってから、今年でもう三年。受験勉強をしなくちゃいけないのに、の命日が近づくと何も手につかなくなってしまう。

勉強道具を一旦片付けて立ち上がると、目に入ったのは庭に生えている、俺の身長くらいの苗木。

小学校に入学する記念で、俺とで植えた桜の木。

年を重ねるごとに木は大きくなっていくのに、俺の中のは姿を変えることはない。

最期に見せてくれたあの笑顔が、心の奥底の方に『後悔』と言うちっぽけな言葉では表せない複雑な思いとなって、今も棘のように突き刺さったままだ。


机の引き出しからあのテープレコーダーを出して、イヤホンを耳にしてベッドに横たわり、の声を聴きながら思う。

は俺に、幸せな時間をくれた。
優しい笑顔をくれた。


……じゃあ、俺は?


に安らげる日々をあげられた?
楽しい思い出をあげられただろうか?

考えても考えても答えは返って来るはずもなく、ハァと大きなため息をついた。


ずっとウジウジしてるこんな姿見られたら、ならきっと『情けないなぁ』って笑うだろう。


「いつまでも心配……かけれないよな……」


イヤホンを外して親に便箋を貰ってくると、一つの決心を綴っていく。


『へ』
/ 36ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp