第2章 Sweet's Beast
「蛍君……はい、これ!」
コートとマフラーを脱いでリビングのソファーに座った蛍君の隣に、私も腰を下ろしながらチョコを渡す。
「上手く出来たかどうか心配だけど……」
「へぇ……食べていい?」
「う、うん!」
作ったのはトリュフチョコ。
形が少し歪になってしまった上、男の子にチョコを作るのは初めてなので、甘すぎて蛍君の口に合うか……と不安でうつむきながら、どういった感想をくれるのかソワソワする。
一秒、また一秒と秒針が時を刻む。
それは一時間でも経ったのかと錯覚するほど長く思えた。
「」
「はひぃ!?」
パッと顔を上げた途端――
唇に柔らかい感触と、チョコレートの甘い風味が広がった。