第6章 理由2
月島side
新「お!イケメンくん。
妹が世話んなってるね」
僕と月原さんの間に
どうしようもなく流れてしまっていた
重たい空気を断ち切ったのは
僕より背の高いお兄さんだった。
月「(イケメンくんって・・・)
月原さんのお兄さんですよね。似てませんね」
『私は母さんに似て、兄さんは父さんに似たの』
月「ふーん」
彼女は頼まれてもいないのに
ペラペラと喋った。
それにしても、『兄さん』って
この間と呼び方が違う。
猫かぶりかな?
新「ところでイケメンくん」
月「その呼び方―――。で、なんですか?」
呼び方に訂正を頼みたかったが
この人には何を言っても無駄な気がして
途中で諦めたのに・・・
新「妹の癖を見抜いたらしいじゃん、“月島”」
呼び方が変わっていた。
この人の察しの良さは何なんだ。
と、このことにも驚いたが
何故かお兄さんが耳元に近寄ってきたから
身構えてしまった。
新「気を付けてやって」
そして一言言うと
すぐに離れていった。
月「・・・はぁ」
新「じゃっ、そういうことで
流凪帰るぞ」
やっと解放される、と思った。
というかそれ以外
普通考えられない状況で、
新「月島連れて」
とんでもない言葉を聞いてしまった。
月(サイアク・・・)