第6章 理由2
前を行く田中先輩、澤村先輩、日向くんの
菅原先輩を呼ぶ声を耳に入れつつも
私は一人、慎重にそれでも速く、
車イスで坂を下った。
『影山くん』
本人には届いていなかっただろうけれど
三人とも呼ばなかった名を口にした。
なんだか、どこか危なっかしい気がしたから。
影「俺 負けません!」
菅「・・・うん 俺も負けない」
そんな私の心配も
現実になってしまう前に二人の間で解決し
私はホッと胸を撫で下ろした。
心に余裕ができて、
視野が広がった。
(あれ?ここ坂ノ下商店だ。丁度良かった)
ここが兄のいる場所、
昨日も来たところだとやっと気づくと
どんどん別の情報も頭に入ってきた。