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体力の代わりに

第4章 クラスメイト


影山side

こいつは中学の時もバレー部だったのか?

だとしたら・・・

影「俺は自己チューじゃねえ。『エンジェル』」

『そのあだ名、何で知ってるの』

やっぱりか。

車イスなんてそうそう見るもんじゃないから
俺ははっきり覚えていた。

あの日見た車イスと見間違いかと思った金髪。
そして呼ばれた後、やけに恥ずかしがっていたあだ名。

今直感的に、こいつだったとわかった。

影「俺は決勝の日お前を見た。正確にはお前の車イスだ。
  お前自身の姿は、押してるヤツで全く見えなかった。
  そこでお前が『エンジェル』と呼ばれていた」

少しの嘘も交えて、解答する。

月原はそのことに対して、
ノーコメントだった。

その代わり、痛いところを突いてきた。

『自己チューじゃないって言うなら、
 どうして“ああ”なった?』

上手い答えが見つからない。

『ほら、言い返せない』

髪の色と肌の色の中でくっきりと浮かび上がる目の黒が
俺に寒気を走らせた。

こいつは一体何者だ?

一体どんなやつなんだ。

これ以上近くに居たら弱さをはき出しそうな気がして、
俺は月原から、ついでに月島からも、
逃げるという選択肢しか頭になかった。
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