第7章 青城戦
新「やけに大人しいな。徹。
こないだ一が
毎日うるさいってボヤいてたのに。
いつもだったら
“お久しぶりって仲じゃないなんて
言ったら及川さん怒っちゃうぞ~”
とか言うだろ?」
兄の渾身の演技に、
青城の部員たちが何度もうなずく。
今の兄の演技が
いつもの『及川さん』ならば
たしかにさっきのは
大人しかったかもしれない。
及「え・・・いや、ハハ。
よくご存知で・・・」
しかし、『及川さん』はどうも
兄の突然の来訪に
動揺を隠せない様子。
新「いやいや、つい最近まで
一緒にバレーしてただろ。
俺がお前を見てないとでも思ったか?」
ギクッっと音がするような
表情の変化を見せた『及川さん』は
一瞬固まって、一気に脱力した。