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マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む


「ぷはぁっ!」
「はぁ…紅覇さん大丈夫ですか?」
「うん。問題無いよ〜」

水面へと顔を出すと、紅覇は勢い良く息を吐いた。
水を飲み込んだり、吸い込んだりはしていない様だ。
なるべく早く、丁寧に泳いだ積りなのだが、一応確認はしておく。

息を止めておくのも泳ぐのに必要な才能だから、意外と紅覇は泳げるのかも知れない。
今度休みの時にでも誘って遊びに行ってみようか。

「紅覇も莉蘭さんも無事着きましたね。」

暫くして全員が揃ったのを確認すると、紅炎が出発の号令を掛けた。
皆が扉の前で隊列を組み直す。

「いよいよですね。」
「緊張してますか。」

そう紅明に尋ねられ、莉蘭は一瞬きょとんとして首を横に振った。

不思議と緊張しているという感覚は無い。
有るのは好奇心と高揚感だ。

「この先に何が在るのか。それが楽しみなんです。」
「…そうですか。まあ、緊張でがちがちになるよりはましですが、余り燥ぎ過ぎない様に。」
「…了解です。」

紅明さんの中で私の立ち位置は一体如何なっているのだろうか。
もしかしなくても、完全に子供扱いである。
そんなに子供っぽい処を見られた記憶も無いのだが、人の受ける印象は様々だ。
特に紅明はぼーっとしている様で細かい処を見ているから、何処で何を見られているか分からない。

何時か挽回しなければ、と思いながらも、莉蘭は目の前の事に意識を集中した。

目の前に在るのは分厚い大きな扉。
それを部下の兵士達が押し開ける。

ゴゴゴゴゴゴ…

扉はある程度まで開けると勝手に開いていった。
向こう側からは眩いばかりの光が溢れている。

地を這う様に響く音が冒険の始まりを知らせていた。
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