第5章 その娘、妻と成りて恋を知る
「み、認め……ま、す…」
「ん?」
「だから、認めるって言ってるんです!」
半分投げやりになりながらそう叫ぶと、莉蘭は近くにあった枕をばっと顔をに当てた。
恥ずかし過ぎて顔が見れない。
見れる筈も無い。
何せ今自分は、紅炎に告白したも同然なのだから。
「……そうか」
紅炎は少ししてそう呟いた。
人が決死の思いで出した答えに、「そうか」の一言で終わらせるとは何事だ。
そう思って抗議しようと顔を勢いよく上げると、此方を見る紅炎と目が合った。
「認めるのか。」
そう言って笑う顔は余りにも綺麗で、穏やかだった。
その表情に、また脈打つ鼓動が速くなる。
莉蘭は上げた顔を再び枕に突っ込んだ。
______あの顔は卑怯だ!
彼の笑顔一つでここまで心が乱されている。
その時点で、
自分は紅炎に惚れているのだと、
これは恋なのだと、
認めざるを得なかった。