第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む
「それなんですが、少し説明しますね。」
莉蘭はそう言うとベッドの上に正座した。
本来なら椅子に座るべきなのだが、残念ながらこの部屋はそんなに広くない。
そもそも、こんなに人が沢山来る予定なんて無かったし、広い部屋は落ち着かないからと、莉蘭は頼んで小さめな部屋にしてもらったのだ。
「先程のあれは、私が小さい頃からの持病です。」
莉蘭が一旦そこで切ると、紅覇が「持病?」と聞き返す。
「はい。持病と言っても病気の類ではなく、体内のマゴイが多くなり過ぎると先程の様な発作が出ます。」
その場に居た人の脳裏には地面に倒れ苦しそうにしている莉蘭の姿が浮かんでいた。
暫くの間沈黙が続く。
「マゴイが多くなり過ぎるとは如何言うことだ。」
尋ねたのは紅炎だった。
その目には僅かな好奇心が見て取れる。
「私は小さい頃からマゴイ量が多かったらしいのですが、ある事件を切っ掛けに力が暴走したんです。暴走した力は元に戻らず、私の体は膨大なマゴイ量に耐えられませんでした。今は国の専属魔導士が施した魔法で抑えられてます。この三年は発作も無く、油断してました。申し訳ありません。」
そう言うと莉蘭はベッドに手をつき頭を下げた。
所謂土下座と言うやつだ。
すると直ぐさま紅炎に「顔を上げろ」と言われ、莉蘭はゆっくりと頭を上げる。
その場には何と無く重い空気が流れていた。