第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む
「ジュダル、こんな所で何をしている。」
「げっ!紅炎…」
ちらりと声のした方を見れば、ジュダルの側に紅炎が立っていた。
今のこの状況はちょっと不味いのではないだろうか。
紅炎は莉蘭の様子を見て一瞬驚いた顔をすると、大体の事は察したのか、物凄い形相でジュダルを睨みつけた。
会議をさぼって遊んでいた事に相当お怒りの様だ。
…普通に怖い。
「もう一度聞く。何をしている。」
「何って、ただ勝負してただけだぜ?なっ、莉蘭。」
その言葉の真偽を問うべく視線が此方を向くと、何とも言えない圧力が全身にかかるのが分かった。
王者の貫禄とはこのことだ。
舌が痺れて話せない莉蘭の代わりに、紅覇が首を縦に振って肯定の意を示す。
それを見た紅炎が「またか」と諦めの溜息を溢した。
もしかして何時もこんな感じなのだろうか。
隣で呆れている紅炎を他所に、ジュダルは突然話を切り替えた。
「そうだ、紅炎!こいつも今度の迷宮攻略に連れて行こうぜ!」
「何?」
言葉の雰囲気からして、完全に今思い付いた感じだ。
ジュダルの言葉に紅炎は顔を顰めている。
「別に良いだろ?こいつ十分強えしさ。」
ジュダルが嬉々として話す中、紅炎はあまり乗り気では無さそうだった。
如何すると言わんばかりに此方を見ている。