第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む
神官と言えばかなりの高位の人である。
そんな人を知らないなんて、失礼にも程があるだろう。
大体、神官であるならば何故婚儀の時に彼が居なかったのか。
と、そんな事を言っている暇も無く、莉蘭は直ぐさま頭を下げて謝った。
然し本人はそんなこと毛ほども気にしていないらしく、直ぐに話は変わる。
「そんなことより、勝負しようぜ。勝負。」
「ジュダル会議は?」
「あぁ?そんなもん俺が居なくても大丈夫だろ。退屈だから適当に言って抜けてきた。」
「もーまた〜?いい加減怒られるよー。」
「俺にとっては会議なんかよりこっちの方が重要なんだよ。」
((どう考えても会議でしょ。))
その言葉に紅覇は呆れて溜息を吐いていた。
神官にしては若いなと思っていたが、如何やらさぼり魔らしい。
こういった人なら婚儀の際に居なくても不思議ではない。
然し、こんな人が神官で大丈夫なのだろうか。
(雰囲気もちょっと危ない感じがするし、若いし、何か訳ありなのかな?)
あまり関わらない方が良いかも知れないが、同じ場所に居ればそうもいかないだろう。
関わらない方が良い、というのは莉蘭の勘でしかない。
そんな理由で関わりたくない、なんて我儘は通らない。
まあ、無邪気に笑う顔からはそんなに危ない感じはしないし、紅覇とも仲が良いみたいだから案外大丈夫なのだろうか。
(言ってることは別だけどね。)