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マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む


二人の元に到着すると、莉蘭は改めて「本日は宜しくお願いします」と挨拶を交わした。

「そんな改まらなくてもいいよ。今日は何する?莉蘭は何が出来るの?」
「私ですか?えっと、体術と剣術はそれなりに教えて貰ってました。」
「ヘェ〜お姫様なのに珍しいね。」
「いえ、そんな大層なものではありませんから。」

自分はお姫様なんてお上品な存在では無い。
どちらかと言うと男勝りな性格だ。
昔からいろいろやらかしてはよくミュラに叱られていた。

武術も兄に付いて回っていた頃に危ないからと止められたらしいのだが、駄々をこね泣きじゃくる姿を見た父が渋々許可したらしい。
それ以来すっかり習慣になった。

その頃からだっただろうか。
多少危ない事をしても「莉蘭様だから」で片付けられるようになった。
勿論その後はたっぷり叱られたが。

「どっちから相手するー?」
「紅覇殿からどうぞ。俺は見てます。」
「そーぉ?じゃあ、遠慮なく。」

三人で広い場所に移動すると、莉蘭は念入りに準備運動をした。
久々の手合わせだから体が鈍っていないか心配である。

審判は白龍に任せ、紅覇と距離を取って立つ。

紅覇が如意練刀構えると、莉蘭もそれに習って剣を構えた。

因みに、この剣は深蒼で造られた物で、深蒼で取れる素材で出来ている。
深蒼の剣は程好い重さと確かな強度が特徴だ。
然もこれは女の自分でも扱い易い様造られた特注品である。

何処から出してきたかって?勿論持参です。
こっそり持って来て部屋に置いてました。

「では、…始め!」

白龍の掛け声と共に紅覇が地面を蹴る。
小柄なだけあって速い。

莉蘭は勢いよく斬りかかってくる紅覇をよく観察し、斬撃を受け流していった。

紅覇の持つ大刀『如意練刀』は、長さが一瞬で調節出来る彼の金属器である。
長さが変わる為間合いが測りずらく、慣れるのに時間がかかる。

「へぇ、中々やるじゃん。」

紅覇がそう言ってにやりと笑うと、莉蘭も「有難う御座います」と言って笑った。

この時の莉蘭は久々の緊張感に心が躍っていた。
深蒼にいた頃も稽古をつけてもらっていたが、莉蘭は中でも実践練習が好きだった。
年一回開かれる剣闘大会でも毎年それなりの順位に入っている。
剣術には少し自信があった。
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