• テキストサイズ

マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む


次の日の午後。

昼食を食べ終えお茶を飲んで休憩していると、何故か窓の方から莉蘭を呼ぶ紅覇の声がした。

「何故其方から?」と不思議に思いながらも窓を開けると、そこには大刀を持った紅覇ともう一人、黒髪の男の人が此方に向かって歩いて来ていた。
頭に飾りが有るところからして王族の身内の人だろう。
然し現皇帝の物は紅炎がしていた筈だ。
となると、自然と前皇帝という事になる。

「お久しぶりです。紅覇様。」
「久しぶりー。別に紅覇で良いよ。」
「然し…」
「立場とか細かい事は今気にしなくて良いからさー。」

紅炎の時もそうだったが、この兄弟達は言い出したら聞かない。

一度何人かの兄弟が集まって互いにもう一度挨拶をしたのだが、全員が全員「もっと気楽に話せ」と言って聞かなかった。
なので最終的には此方が折れる結果となり、流石に人前では言葉使いを気にするが、普段は気楽に話す方針となった。
紅覇や紅玉は年が近いからか、特に仲良くしてくれる。
流石は同じ血が流れる仲と言ったところだろうか。

一つ疑問に思うのは、皆王族なのにこんなので良いのだろうか、ということ。
…私は妻だから良いのか?

「そうなんですか?でも流石に呼び捨ては恐れ多いので、紅覇さんで。」
「えー何か距離あるー。」
「そうは言われましても、流石に人目が有りますから。」

莉蘭が困った様に笑うと、紅覇は「冗談だよー」と言って笑った。

自分には同年代の友人は居ないが、居たらこんな感じなのかな、と思う。
ミュラとはまた違った楽しさがあり、中々新鮮だ。

「あの、彼方の方は?」

莉蘭が黒髪の男の人に視線を移して尋ねると、紅覇が「白龍だよー」と紹介してくれた。

練白龍。
名前は聞いた事がある。
確か初代皇帝練白徳の息子で、第四皇子だったはず。

「初めまして、莉蘭と申します。」

莉蘭がそう言って頭を下げると、何故かまじまじと顔を凝視された。
その視線は何かを疑っている様にも見える。

気不味くなってにっこり微笑むと、彼は「練白龍です」とだけ言って頭を下げた。
…何か気に触ることでもしたのだろうか。

「莉蘭〜早く始めようよ。」
「あ、はい。今着替えてそっちに行きますね。」

気にしても仕方が無いと窓を閉め、莉蘭は動きやすい服装に着替えると外に出た。
/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp