第3章 その娘、王族にて政略結婚を為す
莉蘭が渋々頷くと、膝の上から腕が退けられ解放される。
今更自由になっても何をして良いのか分からず、手持ち無沙汰になった莉蘭は取り敢えずお茶を淹れた。
「飲まれますか?」
聞いてはみたが返事は無い。
此方を見る紅炎の顔は少し不満そうだ。
莉蘭は諦めを含めて軽く溜息を吐いた。
「…飲みますか。」
「あぁ。」
少し楽な敬語で話すと、返事を返す紅炎はどこか満足げに見えた。
そんな紅炎の様子に、莉蘭は内心でもう一度溜息を吐きながらお茶を手渡す。
それを一口啜ると、紅炎は無言で莉蘭をじっと見つめた。
渋かったのだろうか、と莉蘭は首を傾げる。
「な、何ですか。」
「…明日、仕事の合間に茶を淹れて持ってこい。」
「はぁ…。」
莉蘭が曖昧に返事をすると、「どうせ暇だろう」と言われた。
この人は何でこう何時も上から目線なのだろうか。
いや、実際身分的には上なのだが、もっと言い様があると思う。
と言うか、明日私が暇なのは確定なのか。