• テキストサイズ

マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第3章 その娘、王族にて政略結婚を為す


夜になって漸く宴会お開きになった頃。
やっと自由の身になった莉蘭は会場を抜け出して月を見上げていた。

綺麗な三日月だった。
熱気に当てられたのか、少し頬が熱い。

「貴方、もしかして今日結婚なさった方?」

女の人の声に呼ばれ其方を振り返って見ると、そこに居たのは年の近そうな可愛らしい女の子だった。
口調からして王族の方だろうか。

「はい。蒼莉蘭と申します。失礼ながら、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」
「やっぱり!お兄様達の仰られた通りねぇ。私は紅玉ですわぁ。」

現皇帝練紅徳の娘、第八皇女練紅玉姫だ。
確か年も近かったはず。
内向的だと聞いていたが、そうでもないらしい。

「紅玉様でしたか。これはとんだ御無礼を、申し訳ございません。」

莉蘭がそう言って頭を下げると、紅玉は聞いた通りだと更に喜んだ。

一体何を聞いたのかと尋ねると、紅玉は嬉しそうに話してくれた。

「紅炎お兄様が今回結婚なさった人はとても美人で、物腰柔らかで、優しそうな人だと紅覇お兄様は仰っておられましたわぁ。」

莉蘭はその内容に目を瞬かせた。

如何やらとんでもなく誇張されて伝わっている様だ。
実際はそんなに大層な人間では無く、ただの小娘である。

「い、いえ、とてもその様なことは。私なんて大したことありませんよ。」
「ふふ、この世界そうやって自分を謙遜する人は少ないんですのよぉ。」

謙遜する人が少ないなんて、一体この国の貴族はどんな性格をしているのだろうか。

これから先関わる事も有るだろうから少々不安である。
/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp