第1章 序章
莉鎧が莉蘭をベッドに寝かせると、直ぐさま魔導士が駆けつけた。
勢いよく開かれた扉が大きな音を立てる。
「王‼︎」
「ミュラ!早く診てやってくれ。」
「只今。……これは」
莉蘭の容態を見たミュラは表情を険しくする。
その顔に、莉鎧は不安の色を濃くした。
「如何した。」
「王、これは一刻を争います。今直ぐ彼女に封印術を施さなくでは。許可を、頂けますか。」
ミュラはこの国で最も実力のある魔導師だ。
同時に、信頼できる人間でもある。
「頼んだ。」
莉鎧は躊躇することなく頷いた。
ミュラは「お任せを」と返事を返すと封印の準備に入る。
莉鎧はそれを見届けると、莉駿の居る書斎へと引き返した。