第3章 その娘、王族にて政略結婚を為す
それから何日か経ち、式の二日前になったある日のこと。
蒼家はお供を引き連れて煌帝国へと出向いていた。
と言っても付いて来たのは父と兄以外は世話係が十人程。
それも荷を運び入れる為の者が殆どだ。
深蒼から煌まではそんなに距離は無い。
丸一日程で王宮に到着すると、莉蘭は早速別室へと移され、その中に籠らされた。
何でも、当日まで花嫁の姿は親族以外見ることが出来ないのだとか。
如何やら、煌帝国の仕来りでは花婿と花嫁は結婚当日まで顔を合わせないらしいのだが、今回自分と紅炎が既に顔見知りなのは特別なんだそうだ。
…何でだ?
その日一日は特に何もする事も無く、大雑把に式の予定を確認して終わった。
何事も無く、平和で、至って暇な一日だった。