第3章 その娘、王族にて政略結婚を為す
太陽が昇りきる少し前。
その人は馬車に乗ってやって来た。
数人の部下を引き連れ、赤と黒が印象的な男が先頭を歩いてくる。
現皇帝の第一皇子であり、軍を任される武将でもある紅炎は、彼有名な迷宮の攻略者でもある。
余程自信が有るのか、それとも深蒼の武力など底が知れているとでも言いたいのか、総勢二十名程でのお出ましだった。
…少し敵視し過ぎだろうか。
紅炎達がはいってくる様子を、莉蘭は自室の窓辺に立って見ていた。
然し姿は一瞬しか視界に入れず、直ぐに目を反らす。
どうせ嫌と言っても後で会うことになるのだ、今見る必要もないだろう。
そう思い莉蘭は椅子に腰掛け、呼び出しがかかるまで待機した。