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マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第3章 その娘、王族にて政略結婚を為す


莉鎧は「お前には敵わない」と言って微笑んだ。
それを見た莉蘭も頷き微笑む。

そして話を本題に戻した。

「それで父様、相手は何方なんです?」
「あぁ、煌帝国第一皇子の練紅炎殿だ。三日後に返事を聞きにいらっしゃる。その時にお前も挨拶なさい。」

父の言葉に、莉蘭は耳を疑った。

今何と言っただろうか。

最初があまりに衝撃的過ぎて後半は殆ど耳に入らなかった。

そもそも第一皇子である紅炎が、こんな小国の娘を嫁に取るのだろうか。

固まった莉蘭を余所に、莉鎧は話を進めていた。

「莉蘭?聞いているか?」
「えっ?あぁ、ごめんなさい。少し驚いてしまって。本当に紅炎様は私を?」
「そうだ。うちにはお前しか娘は居らんだろう。」

兄は男で、嫁ぐことなんて出来ないから自分なのか。
まあ、当たり前か。

…いやいや、疑問点はそこではなく、相手が第一皇子と云うところだろう。

そもそも、兄も未だ独身なのに何故自分なのか。
嫁ぐことは出来ずとも、娶ることは出来るだろう。
煌帝国にも皇女は居たはず。

「あの、兄様ではないのですか?」
「いや、彼方が提示してきたんだよ。勿論莉駿が結婚する方向も提案したが、聞き入れてもらえなかった。」
「はぁ…」

政治に関してはあまり縁の無い莉蘭はただ頷くしかなかった。

今更何を言ったって仕方がない。
了承したのは自分なのだから。

まあ、第一皇子と言うことは、此方ばかりが不利な状況と言うわけでもない様だ。

深蒼は幾つかの珍しい国と貿易をしているし、国内から貴重な鉱物も産出している。
出来るだけ権力の強い人を添えて事を有利に運ぶ為、とかそんなところだろう。

それに自分が煌帝国にいることで、深蒼が反乱を起こさない為の抑止力にもなる。

「大丈夫か?」
「え、えぇ。…それで、私は何時頃煌帝国の方に?」
「それは三日後に話し合う積もりだ。ちゃんと朝起きろよ?」
「…はい…」

いろいろ驚き過ぎて頭が追いつかない。

ぼやっとしている莉蘭に、少々不安気味な溜息を吐く莉鎧であった。
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