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マギ 〜その娘皇子の妃にて〜

第5章 その娘、妻と成りて恋を知る


涙で言葉に詰まりながらも何とか先程見た事を説明すると、白瑛は未だ泣き止まない莉蘭をそっと抱き締めた。

「え、白瑛さん?」

驚いて名前を呼んでみても、白瑛はただ抱き締めるだけだった。

混乱した所為か涙も止まっている。

「莉蘭殿は今、恋をしてるんですね。」
「……え?」

こい、濃い、故意、鯉、……恋?

訳が分からないと素っ頓狂な声を出す莉蘭に、白瑛は楽しそうにふふっと笑った。
そして、莉蘭の頭をよしよしと撫でる。

一体何が起こっているのだろうか。

「恋って、あの、お話が見えないんですが。」
「すみません、説明不足でしたね。余りにも莉蘭殿が可愛らしかったものですから。」

そう言って笑う白瑛はとても楽しそうだ。
白瑛は抱き締めていた腕を解くと、隣に座った。

「あの、恋ってどう言う事ですか?」

別に恋がどういったものだとか、恋って何だとか、そん事が聞きたい訳ではなかった。
そんな事が分からないと言う歳でもない。

恋をしている、と言うのは、話の流れからして相手は紅炎だろう。
となると、一つ疑問になってくるのは現在の自分と紅炎との関係である。
今現在、私達は婚姻した仲で『夫婦』なのだ。

「そうですねぇ、莉蘭殿は紅炎殿とその女性が楽しそうにしているのを見て、ショックを受けたのでしょう?」
「そう、なんですかね?」
「そうなんです。」

一つ聞きたい。
何故白瑛はこんなに楽しそうなのだ。

「莉蘭殿、一つ聞いてもいいですか?」
「はい。何でしょう。」
「莉蘭殿は紅炎殿のこと、好きなんですよね。」
「は…はいっ⁈」
「違うのですか?」
「え、いや、あの、好きとかそんな事は未だ分からないって言うか…」
「ドキドキしたり、相手が嬉しそうなの見ると嬉しくなったり、しないのですか?」
「そ、それは…」

確かに言われてみれば思い当たる節が無いことも無いのだが、そんな事考えた事も無かった。
それに、未だその現実を受け止められる状態ではない。

莉蘭が必死に両手を振って否定すると、またまた白瑛はふふっと楽しそうに笑った。

「そうと決まれば先ずは調査ですね!」
(何が決まったんだろう…)

白瑛はやたら良い笑顔でそういい放ったのだった。


思うんですけど、この人私で遊んでませんか?
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