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サヨナラの記憶

第2章 大きな出会いと小さな幸せ


~病室~
4月1日 優音滴
私は、何も恐れずこれから起こる事に期待もせずただ毎日を過ごしていた。朝が来 て夜が来るその繰り返し。毎日が私にとってそれほど価値ないことだ。私はいつも のように病室の窓の外を眺めていた。病室の外は桜で満開で、何本もの桜の木が生 き生きと立っていた。きっとこの頃になったら皆、入学式や卒業式などがあり新し い未来が待っているのだろう。

ー 百合桜 優音滴(ゆりさ しずく)ー 10歳の頃から骨髄線維症でこの桜ノ丘総合病院に入院している。本当なら今頃は 中学二年生という新学期を迎えて楽しく友達と学校へ通ってるはずだけど… カレンダーに目をやると4月1日という文字が目に入ってきた。
「今日は4月1日か…。」

ガラララ-

病室のドアが開いた。
「優音滴~」
パパだ。パパは私の病室に入ってくると近くの椅子に腰掛けて私の方を見た。

ー 百合桜 大(ゆりさ まさる) ー 38歳。仕事は全然出来ないけど家事や料理はとても得意。 パパは私の顔を見て一言った。
「外に出てみないか?」
私の心の中に一瞬で喜びと楽しみが脇あげてきた。
「えっ?いいの?」
「いいよ。外は桜が満開で綺麗だぞ。こんな時ぐらい外に出ないと病気が酷くなっ ちゃう。七瀬先生にもしっかり許可もらったし。」
パパは微笑んでいった。外に出るなんて何ヶ月ぶりだろう?嬉しさのあまりベット から素早く起き上がり外に出る支度をした。
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