第3章 黄色のキセキ。
「今日も部活、来ないんスか?」
「あ?行くわけねぇじゃん。」
灰崎は明らかに不機嫌そうだった。
「そんなんだったら灰崎くんの分の席、俺がもらうっスよ。」
「…あ?俺に一回も勝てた事ねぇくせにでかい口叩いてんじゃねぇぞ?涼太ぁ…」
ピリっとした空気が流れる。
灰崎はイラついているようで今にも殴りかかってきそうだった。
「…あの、黄瀬くん…。」
突然背後から声を掛けられ、
心臓が大きく波打った。
「うわぁ!?何スか!?」
振り返るとそこにはるりちゃんが困った顔で立っていた。
「あ、ご、ごめんなさい。えっと、もう休憩時間終わりなので体育館に戻りましょう。」
「え?あ、もうそんな時間スか。了解っス。」
俺がそういうと、るりちゃんはニコリと笑って、
灰崎の方をじっと見た。
「ほら、戻ろう。」
俺はあわてて、るりちゃんの背中を押した。
「は、はい。」
るりちゃんは灰崎の方に軽く会釈をすると、
俺に押されるまま体育館の方へ歩きはじめた。
「じゃぁーねー。涼太くーん。また、遊ぼうねぇー♪」
その声に振り返ると、灰崎はニヤニヤしながら
俺に手を振っていた。
なんだか嫌な予感がした。