第3章 黄色のキセキ。
彼女はそれからも部活をよく頑張っていた。
俺たちへのアドバイスも的確で、
作業も頼まれれば人一倍早く動こうとしていた。
けど、やっぱりまだ完治していない様子の手足は不自由で、他の人より時間がかかってしまう様子だった。
そのため、他のマネージャー達もすぐに彼女の手伝いに向かっていた。
他のマネージャー達に作業を手伝われるたびに
彼女はなんだか申し訳なさそうな顔をしていた。
練習の合間に水道場で顔を洗っている時、
マネージャー達の会話が聞こえてきた。
「てかさ、神谷さん来てから仕事ちょー楽じゃない?」
「あ、わかる。だって神谷さんの手伝いしとけば仕事してるように見えるしね。」
「しかも、優しい女の子アピールできるしぃ。一石二鳥みたいなぁー♪あー、神谷さんずっとあのままでいないかなぁー。」
「ちょ、あんたソレはひどいよぉー。キャハハハ。」
彼女達は嬉々としながらそんな話をしていた。
なんだか腹が立った。
別に上手にサボるのは賢いと思うし、
そうやって好きな男にアピールするのもいいけど…。
こんな奴らのためにあの子はあんなに
申し訳なさそうな顔してるのかと思うと
何故かムカつく。