第3章 黄色のキセキ。
その俺の表情を見て、
赤司っちはニヤリと笑った。
「どうだ?彼女の言う通りにしてみて。」
なんだかちょっとだけ関心してしまった自分が憎かった。
まぁ、こんなのいずれ自分でも気付いてたし…
偶然に違いない!そう思い込ませた。
「こんなの偶然っス!…まぁ、ありがとうっス。」
俺がそう言うと、
彼女は嬉しそうににっこりと笑った。
笑った顔、
今日、初めて見た気がする。
…ちょっとだけ可愛い。
でも、なんだかそれもムカつくっス。
それからも彼女はちょいちょいアドバイスをくれた。
それは思ったよりも的確なもので、
なんだかちょっとだけ悔しかった。
でも、確かにすごい人なんだって
実感出来た気がした。
練習後に黒子っちから部室で聞いた話だけど、
彼女は1年の時からバスケを始めて、
一度は中学選抜に選ばれるほどの実力者だったようだ。
…それを知らずにあんな失礼な事を言い続けた自分が
思わず恥ずかしくなった。
てゆーか、ソレ、誰か最初から教えといてほしいんスけど…。
なんとなく彼女に謝らなきゃいけない気がして
俺は急いで部室を飛び出した。