第3章 黄色のキセキ。
しばらく練習をしていると、
神谷るりがこちらに駆け寄ってきて声を掛けてきた。
「あの…」
「ん?何スか?」
思わずまた不機嫌な顔になってしまう。
彼女はその俺の表情に一瞬萎縮した様子だったが、
意を決したように声を出した。
「えっと…レイアップする時、多分逆の足から踏み出したほうが良いと思います。利き足じゃないほうで出てるからリズムが乱れてやりにくいのかと…」
思わずムっとした。
「え?何で俺があんたに…」
「黄瀬、彼女の言う通りにやってみろ。」
反論しようとしたところで、
いつの間にか来ていた赤司っちからそう言われたので、
仕方なく、やらざるを得なくなった。
さっきの足と逆…
そう意識して足を踏み出しレイアップをする。
先ほどよりも整ったリズムでスムーズに
シュートが決まる。
「…。」
自分で驚いてしまった。
なんでこんな事に今まで気が付かなかったのだろう?