第3章 黄色のキセキ。
しばらくすると、
神谷るりがこちらにやってきた。
「あの…」
さっきの事があったからか、
なんだか気まずそうな顔をした彼女が立っていた。
「ん?何スか?」
俺がそう返事をすると、
彼女は意を決したように少し張った声で話し始めた。
「えっと、赤司くんに言われて二人のお手伝いにきました。」
ほらやっぱり。
自分たちの練習に付き合わせると邪魔でしかないから、
レギュラーの中でも下っ端の俺たちに押し付けるんだ。
「そうですか。よろしくお願いします。」
黒子っちはいつもの表情のまま
お辞儀をしていた。
「あ、お願いします。」
お辞儀を仕返す彼女の顔は心なしか嬉しそうだった。
黒子っちは優しいから…。
こういうので、こういう人がつけあがっちゃうんスよね。
ここはしっかりシメとかないと…。
「はぁ。やっぱり俺たち下っ端に押し付けるんスね。」
俺はわざと不満げに声を大にして言った。
彼女は驚いたような表情をした。
「黄瀬くん、失礼です。謝ってください。」
黒子っちがあわてて俺の方じっとにらみつけた。
「だってそうじゃないっスか!こんな何も出来ない人…まぁ、適当にその辺で見てるだけでいいっスよ。俺たち適当にやるんで。」
そう言って俺は再び練習に戻った。
彼女は小さく謝るとしょんぼりしていた。
そんな彼女を励ますように黒子っちは声をかけていた。
彼女はその後じっと俺たちの練習を眺めていた。