第2章 紫色のキセキ。
それからるりちんが部活に来る事はなくなった。
俺自身もあまり部活には行っていなかったが、
どうやらあれ以来全く来ていないようだった。
別にそんな事俺には関係ないし、
気にするつもりも無かった。
でも、
いつものように体育館で元気に走り回る彼女の後姿や
五月蝿いぐらいの応援がないのは
なんだか寂しかった。
少しだけ気になって
彼女の教室を覗くと、彼女は一人でぼーっとしていた。
あまり元気がないようだった。
少しだけ声を掛けてみよう。
そう思って足を踏み出そうとしたときだった。
「敦。」
その声にゾクっと寒気が走った。
振り返ると赤司が居て、
俺を下から睨みつけているようだった。
「ん?赤ちんー。なにやってんのー?」
誤魔化すようにそう尋ねると、
赤司はそれでも表情を崩さず冷たい目で俺を見ていた。
「俺はるりに用があってこの教室に来た。お前こそ何故ここに居るんだ?」
「ん~?なんでもなーい。」
逃げるようにその場を後にした。