第2章 紫色のキセキ。
ギャラリーがざわつく。
「少し調子に乗りすぎだぞ。敦。あまり僕を怒らせるな。」
その赤ちんの聞いた事のないような
低い声にぞっと寒気が走る。
『僕に逆らう奴は親でも殺す。』
そう言い放った赤司征十郎は
今までの赤司征十郎ではなかった。
そこからはあっと言う間に勝負がついた。
俺は5-4で
赤司征十郎に負けた。
好きな子の前で惨めに負けたのは
俺の方だった。
負けた上に更にその惨めさが
イラつきに拍車を掛けた。
「じゃぁ、俺上がるね。お疲れ。」
その場に居れる気分ではなく、
逃げ出すようにそういうと出口の方へと足を向けた。
「紫原くん!待って!」
るりちんが俺の腕を掴んだ。
「だから、明日も来ればいいんでしょ?練習。」
「そういう事じゃなくて…」
るりちんはまた困った顔をした。
「いや、その話しはもういい。好きにすればいい。試合さえ勝てばな。」
赤ちんは俺にそういい放つと、
るりちんの手を俺から引き剥がした。