第2章 紫色のキセキ。
「ねぇー、赤ちん。むかんのごしょーの木吉って知ってる?」
練習中、
俺は赤ちんに尋ねた。
「あぁ。昭栄中のキャプテンか。よく覚えている。」
赤ちんはバッシュの紐を結びなおしながら
そう言った。
「よく覚えている?ん?赤ちん対戦した事あるの?」
俺がそういうと赤ちんは不思議そうな顔をした。
「何ってるんだ。覚えてないのか?お前も1年の時に対戦しただろう?」
「え~?うそぉー?」
俺は一生懸命思い出してみた…。
が、浮かばなかった。
「…まぁ、いいや。覚えてないって事はそれぐらい弱かったって事だよね。俺の方が強かったんだよね。」
俺がそういうと、赤ちんは首をかしげていた。
よく覚えてはいないけど、
俺はるりちんの『大好き』なそいつに昔勝っていた。
そう思うと少しだけ優越感を覚えた。
それと同時に、
もしまた戦う機会があれば、
もう二度と立ち上がれないぐらいに
るりちんの目の前で痛めつけてやろうと
心に決めた。
負けたくない。
誰にも…
絶対に…。