第1章 緑色のキセキ。
しばらく渡り廊下を走り抜けると、
思わずその場にしゃがみ込む。
・・・恥ずかしい。
見られてしまった。
まさか後ろにいるとは思わなかったのだよ。
彼女はきっと俺のことを
体育館倉庫で深呼吸する変な男を思っただろうか…。
ふと彼女の姿が目に浮かぶ。
再び胸がドキドキして
顔が熱によって火照ってくる。
変な汗が流れる。
俺は汗を拭おうと、
ポケットから瑠璃色のハンカチを取り出そうとする。
・・・?
あれ?
ハンカチがない…。
「…はぁ…。」
最悪なのだよ。
きっとさっきの場所に落としてきてしまったのだよ。
さすがに取りに戻る勇気はなく、
俺は仕方なくその場を後にした。
その日はずっと
彼女のことが頭から離れなかった。