第1章 緑色のキセキ。
それから神谷は部活には参加しなくなった。
赤司も、他の部員達も、
あの時の事はあまり口にしないようにしていた。
俺たちが完全に部活から引退する日。
そこに神谷は姿を現した。
神谷は2軍や3軍の部員たちの部活を見ていた事もあって、
すごく慕われているようだった。
久々に神谷の嬉しそうな笑顔を見れて安心した。
「神谷が元気そうでよかったのだよ。」
「…。」
俺は返事がないので
赤司の方を見た。
ぞっと寒気がした。
"あの目"をしていた。
まるで神谷が誰かに好かれるのを
拒むような冷たい目。
頭の中で
警告音のようなものが鳴り響いていた。
赤司に神谷を近づかせてはいけない。
近づかせてしまったら…。
汗がつーっとたれてくる。
「緑間さん!これプレゼントです!」
ふいに後輩から話しかけられ、
思わず赤司から目線をはずしてしまった。
ふと気がついた時には
赤司の姿も神谷の姿もなかった。