第1章 緑色のキセキ。
「つまり君は僕が間違っていたと言いたいのかい?」
赤司のその鋭い眼光と
冷淡な口調に神谷は顔を青くしたままだった。
「間違っていた…とかじゃなくて…人それぞれで…。負けて得るものもあると思うし、バスケットはみんなで楽しくしたほうがいいし…勝ちにこだわり続けるのは変な気がします…。」
彼女がそう答えると、
赤司の口角が少しだけあがった。
まるでその言葉を待っていたかのように。
「じゃぁ、逆に聞こう。君は負けて得たものはあったのか?みんなでするバスケは楽しかったのか?」
その言葉に神谷は発言を詰まらせた。
赤司が神谷を気に入っている理由を尋ねた時、
"自分たちと同じだから"と言っていた。
赤司の言う"同じ"の意味がわからず、
その時は首を傾げていたが、
思い返してみれば、
神谷はいつだって一人だった。
いつだって誰にも頼らず
一人でなんでもこなしていた。
あの頃からの俺たちと一緒で
仲間に頼るプレーは一切していなかった。