第1章 緑色のキセキ。
3年の全中を終えたとき、
黒子は部活を辞め、
神谷は自主参加の練習の時は1軍ではなく、
2軍3軍の練習ばかりに行くようになった。
赤司は神谷のその行動が気に入らないようで
終始イライラとしている事が増えた。
そんな時に事件は起きた。
いつものように自主練習をしていると、
1軍の体育館に神谷が顔を青くさせながら入ってきた。
ゆっくりと緊張した面持ちで
赤司の方へと歩み寄って行った。
何か嫌な予感がした。
「あの、赤司くん。」
「なんだ?」
赤司は汗をぬぐいながら
じっと彼女を見つめた。
「実は、さっき2軍の子達から聞いたんだけど…」
俺も手を止めて神谷の話しに耳を傾けた。
どうやら2軍の奴らが帝光中レギュラーと公言し、
どこかの不良に負けたそうだ。
赤司の顔がみるみる冷たい表情になっていく。
神谷もどんどんと表情がこわばっていく。
「そうか。わかった。それで、君はその彼らになんて言ったんだ?」
赤司のその問いかけに神谷の表情は固まった。
神谷は『何も言っていない』と答えた。
赤司は冷淡な口調でその理由を問いかけた。
神谷は震えた声で
一番言ってはいけない事を口にした。
「勝つことが…全ては…間違っていると思います。」
一気に緊張した空気が体育館内を包み込み、
全員が手を止めた。