第1章 緑色のキセキ。
それから月日はあっと言う間に流れた。
彼女はすっかり帝光バスケ部マネージャーとして
無くてはならない存在になっていた。
俺たちはいつしか
『キセキの世代』と呼ばれもてはやされるようになり、
試合だって負けなしなぐらい強くなった。
でも、俺たちの圧倒的な強さに
試合は対等な試合ではなくなっており、
いつしか張り合いのない憂鬱なものになっていった。
試合が終わるといつも、
神谷が寂し気な表情をしていた気がした。
そして、
大きく変わった事がもう一つあった。
赤司が異常なまでに神谷に執着するようになった。
まるで自分のものを他人に触らせたくないかのように
彼女と他の誰かが話すのを嫌った。
彼女自身、それを嫌がっている様子は無かったが、
俺は何か危険なものを感じた。
「赤司、神谷の事を随分気に入っているようだな。」
将棋の対局をしながら
赤司に尋ねると、赤司はニヤリと笑った。