第1章 緑色のキセキ。
そのコロコロと変わる表情が
あまりにも可愛くて思わず目を逸らしてしまった。
胸がドキドキと高鳴った。
沈黙が続くと、
この胸のドキドキが聞こえてしまいそうで
ノートについて彼女に伝えた。
「…お前が学校に来ていなかった期間の各教科の重要そうな所をまとめた。」
俺がそういうと、
彼女はぱっと顔を上げて
見たことのないような笑顔になった。
「こ、これ!も、もらっていいんですか?」
その笑顔に思わずニヤけてしまいそうなのを
押さえるのに必死だった。
彼女のその笑顔は可愛すぎた。
「やると言ったのだよ。…わからない所があったら…俺に聞け。教えてやるのだよ。」
神谷はその言葉を聞くと、
早速教科書を取り出し、
ノートと共に眺め始めた。
俺はそんな彼女の顔をじっと眺めていた。
まさかあんなに嬉しそうな顔をしてくれるとは思わず、
未だに胸がドキドキと高鳴っていた。
それから俺は彼女の勉強をしばらく見ていた。
でも、彼女自身頭が悪いわけではなかったので
特に質問してくる事はなかった。
でも、ただただそうやって二人で過ごす時間のようなものが嬉しくて、ずっとこうして居たかった。
それからあの彼女の笑顔が見たくて、
彼女が困っているであろう時は
すかさず助けに入るようにした。
少しずつだけど
彼女との距離も縮まってきた気がした。