第1章 緑色のキセキ。
部活中は神谷はいつもの通り、
何事も一生懸命にこなしているようだった。
周りが思っているほど本人は気にしていないのだろうか?
「緑間っち!どうしたんスか?ボーっとして!」
俺が神谷を見つめていると、
黄瀬が不審に思ったのか話しかけてきた。
「なんでもないのだよ。」
俺は誤魔化すように慌てて練習を再開する。
「ふふーん!今、るりちゃんの事見てたんスよね?」
黄瀬はニヤニヤと俺の前に立ちふさがった。
「ち、違うのだよ!そこに居られたら邪魔なのだよ!」
「好きなんスか?」
「…ば、ばか!神谷の事なんて全然好きなんかじゃないのだよ!!!」
動揺のあまり声が思わず大きくなってしまい
思わずはっとなり周りを見る。
神谷が少し驚いた顔でこちらを見ていた。
「あ…。」
「ちょ、緑間っち!声でかすぎるっスよ!」
黄瀬は今にも笑い出しそうな顔で
こちらを見ていた。
「う、うるさいのだよ!お前はさっさと練習に戻れ!」
「いいじゃないっスかー!協力してあげるっスよ?」
黄瀬は相変わらずニヤニヤと俺に付きまとってきた。
「…はぁ。一つだけ聞きたいのだよ。」
あまりのしつこさに思わず心が折れた。
俺が質問しようとすると黄瀬が目を輝かせた。
「何スか!?」
「…長く入院していたせいでクラスで浮いているみたいなのだよ。勉強にもついて行けてない。どうするべきなのだろうか…?」
俺がそういうと、
黄瀬は少し驚いたような顔をした。