第1章 緑色のキセキ。
周りのやつは止めもせず、
ニヤニヤと笑ってその様子を眺めていた。
神谷はどうやら教室にはいないようだ。
なんとも言えない怒りが込みあがってきた。
俺は神谷の席に群がっている連中の方へと歩み寄った。
「一体何をしているのだよ。」
その俺の声にそいつらはビクっと体を震わせた。
「え?み、緑間くん?…えーっと…ちょっとびっくりさせようと思って!イタズラだよ!イタズラ!」
そいつらはヘラヘラと笑って誤魔化しているようだった。
「それで気付かずに座ってしまったら怪我をすると思うのだよ…。」
彼女達はバツの悪そうな顔をしていた。
まさか、止めに入るやつがいるとは予想していなかったのだろう。
このクラスの連中は面倒事に関わるのを嫌うようで
このような事に全く関わろうとはしない。
もちろん、俺も例外ではなかった。
でも、何故か今回ばかりは動かずには
いれなかった。
「えー?だ、大丈夫だってぇー!座りそうになったら教えるしー!私たちるりの友達だから!」
そう言ってヘラヘラ笑う彼女達をにらみ付けると、
そのうちの一人は急いでその画鋲を剥がしはじめた。
「もぉー!ちょっとしたおふざけだって!…ほら、片付けるよ。」
彼女達はいそいそと片付けると、
その場を後にした。