第1章 緑色のキセキ。
帰り道、
俺は赤司に尋ねた。
「何故、彼女の名を聞いたのだよ。彼女の事は知っていただろ?」
その問いかけに赤司はふっと静かに笑った。
「あぁ。みんなに彼女の名を覚えてもらう必要があったからね。」
「どういう事なのだよ?」
「神谷るりにはバスケの才能がある。あそこに居るのは勿体無い。」
「…。」
「彼女を男子バスケ部のマネージャーにする。異論は認めないよ?」
そういうと赤司はニヤリと笑った。
異論なんて唱えるつもりはなかった。
むしろ、嬉しかった。
「早いうちに顧問に話しをつけるつもりだが、神谷るりは女子バスケ部で不遇な扱いを受けている。また大きな怪我をさせられないように気にかけておいてくれ。お前は同じクラスだろ?」
その赤司の言葉にすこし引っかかりを覚えた。
"また"
大きな怪我を
"させられる"?
「…うむ。わかったのだよ。」